まず最初に

一口馬主ライフを続けていると、「目当ての募集馬になかなか出資できない」、「違う牧場の馬にも出資したい」など様々な理由でクラブを増やしたいという気持ちが湧いてくると思います。

その時にどんな視点で掛け持ちするクラブを選択すればよいのか、この記事で様々なバリエーションを考察してみたいと思います。

仕入れタイプから掛け持ちクラブを考える

まず、クラブの分類を把握しておくと後々役立ちますので一口馬主DBさんの以下のページをご紹介しておきます。今回の記事でもこの分類をベースにしています。

一口クラブの分類・特徴紹介[一口馬主DB]

https://www.umadb.com/cont/ctype/

 

以下は一口馬主DBさんの「仕入れタイプによるクラブの分類」表を簡略化したものです。

系統 クラブ
社台牧場系

社台サラブレッドクラブ
サンデーサラブレッドクラブ
G1サラブレッドクラブ
キャロットクラブ
シルクホースクラブ
グリーンファーム愛馬会

牧場集合系 ユニオンオーナーズクラブ
ターファイトクラブ
ローレルクラブ
独立牧場系 ノルマンディーオーナーズクラブ
ロードサラブレッドオーナーズ
大樹レーシングクラブ
ワラウカド
バイヤー系 東京サラブレッドクラブ
友駿ホースクラブ愛馬会
サラブレッドクラブライオン
広尾サラブレッド倶楽部
DMMバヌーシー
YGGオーナーズクラブ
京都サラブレッド倶楽部
折衷系(牧場・バイヤー) ラフィアンターフマンクラブ
ウインレーシングクラブ

まず皆さんが所属されているクラブがどの分類に属しているかを把握しておきましょう。
これをもとにどういったクラブを増やすべきかを考えていきます。

社台系クラブと非社台系クラブ掛け持ちのメリット

社台系、特にサンデー、キャロット、シルクの募集馬のメインとなるノーザンファーム生産馬は他牧場と比較して圧倒的な成績を収めています。

であればこういったクラブに入るのが最も活躍馬に出資する近道ではないかと思えますが、これらのクラブは人気が凄まじく、ほとんどの方は抽選漏れで目当ての馬に出資するのが難しいという状況です。

サンデーやシルクは実績制を取っており、過去数年で数百万以上の出資実績があれば希望の馬に出資することも可能ですが、なかなかそこまで資金を使える方も少ないでしょう。

キャロットは母馬に出資していた方や、前年・過去2年で最優先枠で出資できなかった人は出資がしやすくなりますが、それでも毎年好きな馬に出資というのは難しいです。

こういった現状を考えると、社台系のクラブで抽選に参加し当選した馬に出資、もう少し頭数を増やしたい場合に非社台系のクラブで出資をするという形が望ましいでしょう。

非社台系のクラブであれば即満口になるような馬はほぼなく、デビュー直前まで様子見できるクラブもあります。

こういった非社台系のクラブに入っておけば、世代ごとの頭数が調整できますし、栗東・美浦、牡馬・牝馬、種牡馬のバリエーションなども自由に組み合わせることができます。社台系に比べて平均募集価格が安いのも魅力の一つです。

社台系クラブ掛け持ちのメリット

次に社台系クラブを掛け持ちするという案が考えられます。

例えばキャロット+シルクなど。

本来、同じ系統のクラブを掛け持ちするのは会費がかさむためあまり望ましくありませんが、現状これらのクラブの凄まじい人気を考えるとありです。

メリットは単純ですが、抽選で当選する頭数を増やせるという点です。

また、バイヤー系に属している東京サラブレッドクラブ、サラブレッドクラブライオン、DMMバヌーシーでも社台系の生産馬が毎年募集されているのでこれらのクラブと組み合わせるのもありかと思います。

非社台系クラブ掛け持ちのメリット

非社台系クラブといっても牧場集合系、独立牧場系、バイヤー系、折衷系と分類が分かれています。

個人的には「バイヤー系+その他のクラブ」がおすすめです。

バイヤー系の場合、セリや庭先取引で馬を買い付けて募集を行うため毎年新鮮なラインナップが楽しめます。
その反面、気に入った母馬がいてその馬の次年度産駒に出資しようと思っても募集される可能性は低いです。

これに対し、牧場集合系や独立牧場系の場合、クラブゆかりの血統といわれるような母馬の産駒が毎年募集されることもあり、例えば自分の出資馬が将来繁殖牝馬となった場合、その産駒が募集される確率もバイヤー系に比べて高いです。一口馬主の楽しみの一つでもありますね。

ですので、バイヤー系で毎年変わるラインナップを楽しみつつ、牧場集合系や独立牧場系でおなじみの血統に出資する。こういったことができるのがこの組み合わせのメリットです。

募集口数から掛け持ちクラブを考える

以下の表は各クラブの募集口数の大まかな一覧表です。

口数 クラブ

大口募集
(40~50口)

社台TC(社台)
サンデーTC(社台)
G1TC(社台)

中口募集
(100~200口)

グリーンF(社台)
ターファイトC(牧場集合)
ユニオンOC(牧場集合)
ラフィアンTC(折衷)

小口募集
(400口~500口)

キャロットC(社台)
シルクHC(社台)
ローレルC(牧場集合)

ロードTO(独立牧場)
ノルマンディー(独立牧場)
大樹RC(独立牧場)
ワラウカド(独立牧場)
東京TC(バイヤー)
友駿HC(バイヤー)
TCライオン(バイヤー)
京都TC(バイヤー)
ウインRC(折衷)

超小口募集
(1000口~2000口)

広尾TC(バイヤー)
DMMバヌーシー(バイヤー)
YGGOC(バイヤー)

では早速ですが口数による掛け持ちクラブの組み合わせを考えていきます。

大口クラブと中口・小口クラブ掛け持ちのメリット

大口クラブメリットは、

・少人数で所有するため小口に比べて所有欲が満たされる
・活躍時のリターンが大きい
・牧場見学や口取りがしやすい
・命名がしやすい
といった点があげられます。

デメリットは、
・人気馬は競争率が非常に高い
・1口当たりの出資価格や維持費が高額
といったところでしょうか。

これに対して中口・小口クラブに出資するメリットは、
・1頭に対する出資者が多い為、出走する際などSNSが盛り上がる
・1口当たりの出資価格や維持費が安価

デメリットは、
・活躍時のリターンが少ない
・牧場見学や口取りの競争率が高い
・馬名応募の競争率が高い

つまり大口クラブとメリット・デメリットが逆になります。

これらを考慮すると以下の出資パターンが浮かび上がります。

・大口クラブで年1、2頭
・中口・小口クラブで足りない分を補い、また大口クラブでは出資し辛い高額の良血馬に出資

この組み合わせであれば大口クラブ出資馬で牧場見学や勝利時の口取りを楽しみつつ、中口・小口クラブで多頭数の出走を実現できます。

同口数クラブ掛け持ちのメリット

この組み合わせは各出資馬を平等な気持ちで応援できるところがポイントになります。
例えば、40口募集馬と400口募集馬では10倍リターンが違うわけで、どうしても応援する熱量が変わってしまうことが予想されます。

同じような口数のクラブ同士であればこういった心配はいらず、どの馬に対しても同じ感覚で応援することができます。

ただこのあたりは個人差があると思います。
口数が違っても気にならない方も中にはいらっしゃるでしょう。

中口・小口クラブと超小口クラブ掛け持ちのメリット

これは最初に上げた大口クラブ+中口・小口クラブの口数分割バージョンと考えてもらえれば良いです。

中口・小口クラブで1,2頭出資し、超小口クラブで足りない分を補うといった形です。

ただ、大口クラブのように牧場見学や口取りがしやすいという訳では無いので、少しメリットは薄れます。

このパターンの掛持ちを有効に活かすのであれば、例えばキャロットで最優先を毎年使って1頭確保しつつ、超小口で複数頭に出資。シルクで最優先(抽優)を使って良血馬にチャレンジしつつ、超小口で複数頭に出資。といった作戦などが考えられます。

仕入れタイプ・口数を組み合わせる

実際に掛持ちクラブを考えるには、仕入れタイプと口数の分類を組み合わせて考えるとより満足のいく結果が得られます。

組み合わせの一例(私が入会している3クラブ)

・キャロットクラブ(社台牧場系・小口)
・ワラウカド(独立牧場系・小口)
・広尾サラブレッド倶楽部(バイヤー系・超小口)

各クラブ簡単に解説していきます。

キャロットクラブ

ご存知の通り社台系です。
ノーザン生産馬が大半を占め非常に成績の良いクラブですが、競争率が高くなかなか目当ての馬に出資できません。
2019年は7頭に応募して出資出来たのは2頭といった具合です。

ワラウカド

非社台の独立牧場系です。
パカパカファームの生産馬が募集されます。
2017年に開設されたばかりで会員数も少ない為、満口にならず締め切られる馬も半数ほどいます。
つまり早い段階であれば目当ての馬に確実に出資することが可能です。
以下の記事で詳しく解説しているので興味を持たれた方はご覧ください。

広尾サラブレッド倶楽部

一口馬主DBの分類上仕入れタイプはバイヤー系となりますが、実は木村秀則牧場に自家所有の繁殖牝馬を預託する形を取っており、半数ほどはクラブゆかりの血統となっています。ですので近年の傾向でいえば折衷系(牧場系+バイヤー系)と言った方が正しいかもしれません。

残り半数は他牧場からの募集で、最近は下河辺牧場、三嶋牧場といったリーディング上位の牧場からも募集されラインナップが充実してきています。

口数は2000口募集がメインで超小口の分類です。
広尾TCについては以下の記事で詳しく解説しています。

どのような考えでこの3クラブを選んだか

キャロットとワラウカドは社台系と非社台系です。
キャロットで当選した頭数をベースに、補いたい分をワラウカドで出資することを最初に考えました。

そして、キャロットとワラウカドだけではほぼノーザンファームとパカパカファームの生産馬だけなってしまうので、もう少しバリエーションが欲しいと考え、バイヤー系の広尾サラブレッド倶楽部に入会しました。

数あるバイヤー系の中で広尾サラブレッド倶楽部を選択した理由は超小口クラブという点です。当初は一口馬主を始めたばかりということもあり限られた予算の中で頭数を増やす目的で1口2口ずつ多頭数に出資していました。

最近はキャロットやワラウカドの頭数が増えてきたため広尾TCでは小頭数に絞り、逆に1頭当たりの口数を増やして400口、500口クラブと同等の割合にしています。同口数クラブ掛け持ちのメリットは実は複数口出資でも実現できるんですね。

といった具合で、私の場合メイン・サブクラブといった住み分けはせず、各クラブの仕入れタイプや口数を考慮しつつ3クラブからバランスよく出資するというスタイルを取っています。

最後に

正直回収率を重視するのであれば1クラブに絞るのが会費負担を考えると最善ですが、満足度を高めたいのであればやはり掛持ちがおすすめです。

ただあまりクラブを増やしすぎても各クラブのサイトにアクセスして近況を見るのが煩わしくなったり、会費負担も馬鹿にならないのでほどほどが良いでしょう。

最初は1クラブから始めて徐々に目標のクラブ数に増やしていくもよし。もしくは一気に5クラブほど入会して自分に合ったクラブだけを残して減らしていくもよし。最終的な状態に落ち着くまでの道のりも色々なパターンがあるかと思います。

皆さんに合った方法で、好みのクラブを選択してみてください。
その際にこの記事が参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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